「専門学校における情報デザイン教育 人間中心設計プロセスを授業に取り入れる」
岩崎学園横浜デジタルアーツ専門学校 浅野 智様
専門分野 情報デザイン・インタフェースデザイン
インタフェースの研究は日本でおよそ300名程度
横浜デジタルアーツ専門学校
デジタルデザインに特化している
ノートPC貸与のメリット
クラス編成の自由度が高い
反面、高額な教材費(ソフト代)がかかる
教材が蓄積、教材を活用 中国での教育に利用
インターンシップ(10年前から)
就業体験型のジョブシャドウイングは少ない
企業、自治体との共同研究が主流

新しいデザイン領域の開発
 情報デザイン
情報化社会(情報過多の時代)
ユビキタス社会(機器の知能化)

20世紀までの暖房 → 21世紀の暖房
ストーブ   → エアコンのスイッチを入れる
あらゆる道具にマイコンが実装され、無感触なインタフェースの世界になる
液晶画面と入力ディバイスのみの操作
インタフェース
デザイナーのモデルとユーザのモデル
デザインモデルとユーザモデルの間にギャップがあって使いづらい
使っている人が悪いのではなく、機械やデザイナーが悪い
わかりやすさ、使いやすさのデザイン
 部長さんちゃんとコピーが取れますか?
 お母さんヨン様が録画できますか?
 お兄さんカーナビ使いこなせますか?
インタフェースが商品
iPhoneは外見で売れたのか?
例)携帯電話を長く使っていると、他社製の携帯は操作がわかりづらい
Webも同じ
Webでチケット予約するのも同じ
パソコンも液晶画面とGUI入力
検索がカギ
ヒューマンエラーを防ぐ
スパゲティ症候群
 たくさんの電子機器がリモコンで操作されている
 機械ごとに業界標準のインタフェースが無い
 夜勤で疲労困憊、業界基準の無い機器の操作を行う可能性が・・・
電子機器だけでの操作になってくるとヒューマンエラーが増えてくる
ユーザビリティ
1986年ドナルド・A・ノーマンが提唱
著書「誰のためのデザイン?」で一般にも知られるようになる
認知科学を背景に、利用に際してのわかりにくさを排除しようという点に中心を置かれた
人間中心設計(HCD)
背景 コンピュータおよびコンピュータ搭載機器の高性能・多機能化、Webサイトの使用目的の多様化があり、「複雑なものをより簡単に使いたい」というニーズに高まりがある。
HCDプロセス(ISO 13407)
アメリカでは、この規格で作られていないものは輸入できない
ユーザの立場に立って物をつくる
教員ができるカリキュラムではなく、学生が受けたい授業、世の中のニーズが高い授業を

利用状況の把握と明示
ユーザと組織の要求事項の明示
設計による解決案の作成
要求事項に対する設計の評価
システムはユーザと組織の要求を満たす

情報デザイン研究室


GUIの設計
現在最も活動している分野
大手企業からの委託調査や研究が多い
サムスンモバイル機器、LG電子の携帯GUI
リコー、キャノンなどの複合機
工業デザイナー1名に対し、GUIデザイナーは10名必要といわれている
デジタルマニュアルの優位性

来るべきペーパーレス社会を見据え、従来のアナログ・テキストによるマニュアルからデジタルマニュアルへの移行を提案している (紙のマニュアルが無くなる)
SONY、リコー、フジフィルム、オリンパス、日産、ホンダ
タスクのあいまいなデジタルコンテンツ
情報サイトやネットショップ代表される、あいまいな目的をどうやって確定させるかの研究。
グループインタビュー法、SD法
2006年度
ダイナミックインフォメーショングラフィックの研究
2007年度
横浜市役所Webサイトリニューアル調査 など

産学連携にペルソナを活用
ユーザ評価
使いやすさを定量化(企業の委託調査多数)
事例(クラフトロボ)
小型カッティングマシーンのインタフェース調査
コンシューマ商品 ハード3台、ソフト2種類、マニュアル3冊
これはわかりにくい!
類似製品の意味知識が無いために、まるでわからない
意味知識と構文知識
私たちが持っている知識のうち、世の中に広く当てはまる知識を意味知識という。
これに対して、そのシステムだけに通用する特別な知識を構文知識という
調査手順
認知的ウォークスルー法
プロトコル分析をNE比
 初めて使った人とエキスパートの作業時間の比較をする
 どこに問題があるか発見できる
調査結果からの提案
マニュアルを改善(デジタル・マニュアル作成)
シンプルな画面の方が、人には使いやすい
改良後、再度プロトコル分析法に夜ユーザビリティテストを行うと、作業時間の短縮ができた
作業時間と短縮→製品は使いやすくなったといえる
改良前後での変化→コールセンターへの問い合わせ件数 約50%減
本人が使いやすいと思って作ったものは、えてして使いづらいものである

ペルソナ/シナリオ法
ターゲット像を決められない
例えば、「20代の女性」を想像すると・・・
人は自分の経験からしか想像できない
ひとりひとりが想像するタイプはまったく違うものだったりする
ペルソナシナリオ法は
仮想ユーザ(ペルソナ)を想定して、開発チーム全員の共通認識にする技術
ユーザ情報の理解の促進
誰にでもユーザ情報がわかる
対象ユーザを常に意識して作品が作れる
コラボレーションの促進
異なる分野間でコラボレーションしやすくなる
一貫したユーザ評価
ペルソナを元に評価ができる

オブザベーション
 経験をデザインする(ゼリーを食べる過程を段階に分ける)
 観察から生まれる気づき
 パッケージをデザインする
例)バンドエイドのデザイン
 貼る過程を15段階ぐらいに分ける
エスノグラフィックインタビュー

真実はユーザの心の真相にある
師匠と弟子の関係になり根堀葉堀聞く
ペルソナシナリオ法
 オブザベーションとエスノグラフィックインタビューをやってからペルソナを考える
ペーパープロトタイピング
パソコンで作るよりも紙で作る
アクティングアウト
 システムや機器の使用状況を演じてみる
学生は楽しんで「気づき」と「ふり返り」を
プロトコル分析
 ものを使っているところを観察
 発話をさせる
自分が使いやすいと思っていたのは間違いだったことを知る
リフレクション

教育のワークフロー
体験型の授業を

情報デザイン教育は人間教育に役立った

Q
ピクトグラムを授業で作ったが、思うようなデザインができなかった
具体的にペルソナを設定してやってみたいと思った
ペルソナの設定はどうすればよいか
A
ペルソナの設定はあまり縛りが無い
ピクトグラムはユニバーサルデザインなので、逆にペルソナが無いほうが良い
ターゲットを絞るときにはペルソナがあると良い
ピクトグラムはインフォメーショングラフィック
料理のレシピを「グラフィック」で作るのが良い
できるだけ文字を少なくして伝えるようにする
新聞のニュースを一枚の絵で表現する

Q
限られた時間の中で情報デザインを入れるとしたら、最低限どういうことを盛り込めばよいか
また、担当が替わっても実施できるような内容はあるか
筑波大学 久野靖教授


A
J検の情報デザインのテキストでおよそP.200、半期15時間で終了できるように作っているのでそちらを参考にしてください
研修会で学んで、すぐに授業に利用できるものです

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